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第30課 現代の使命Ⅲ-三重の使命


 聖書の歴史をみると神は各時代に必要な使命(メッセージ)を与えて、人類の歩みを導いておられることがわかります。神よりの使命はその時代を安全に歩む道しるべでした。
 洪水によって古代社会が滅びる前に、神はノアを通して120年にわたって、救いの使命を伝えられました。その使命に従って箱舟をつくったノアとその家族は救われることができました。
 終末の時代にも神は特別な使命をお与えになりました。それはヨハネの黙示録14章にでている第1、第2、第3天使の使命で、これを三重の使命または三天使の使命と呼んでいます。
 この使命はキりスト再臨の前にのべつたえられるもので、これにヨハネの黙示録18章1節から5節までの使命がつづいて、神より人類に与えられる恵みのメッセージは完結し、終末がくるのです。
 私たちの永遠の運命はこの使命にいかに反応するかにかかっているのです。
 この課では三重の使命の概観を学び、私たちがいかにこれを受けるべきかを考えてみたいと思います。


1.第一天使の使命

 「わたしは、もうひとりの御使が中空を飛ぶのを見た。彼は地に住む者、すなわち、あらゆる国民、部族、国語、民族に宣べ伝えるために、永遠の福音をたずさえてきて、大声で言った、『神をおそれ、神に栄光を帰せよ。神のさばきの時がきたからである。天と地と海と水の源とを造られたかたを、伏し拝め』」(ヨハネの黙示録14章6、7節)
 これを第一天使の使命といいます。この天使は「永遠の福音」をたずさえてきました。イエス・キリストは人類を救うために人となって、私たちの身代わりの刑罰をうけて下さったことを信じることによって私たちは、永遠の生命にはいることができます。この真理は各時代を通して変わらないもので、「永遠の福音」とよばれています。
 前に学んだように神のさばきには2種類ありますが、このさばきは、キリストを信じる人々に対する調査審判をさしています。調査審判がはじまる1844年のすこし前に米国およびヨーロッパにおいて起こった再臨運動は、第一天使の使命のはじめと考えられます。この使命は調査審判終結の時までつづけられるのです。
 第一天使は審判の時がきたので、創造主である真の神にかえるように警告しています。今日人々は真の神を忘れ、物質主義その他いろいろな神をおがんでいます。真の神にかえることは、人間回復の土台です。
 創造の神の信仰に対立する思想として進化論があります。進化論の経典ともいうべきダーウインの「種の起源」が出版されたのは1859年であることを思うと、第一天使の使命は、最も適当な時期につたえられた使命であることがわかります。またここにも終末を目前にして、キリストと悪魔の大争闘の一環をみることができます。
 この使命は天使が大空をとぶ有様で示されているように非常にはやい速度で、しかも全世界のすみずみまでのべつたえられなければならない使命です。第一天使の使命がのべつたえられてからわずか100年あまりのうちに、現在ではほとんど全世界にのべつたえられるようになりました。これは近代文明の産物である交通・通信機関が利用され、文字通り「中空を飛ぶ」という預言が成就しています。


2.第二天使の使命

「また、ほかの第二の御使が、続いてきて言った。『倒れた、大いなるバビロンは倒れた。その不品行に対する激しい怒りのぶどう酒を、あらゆる国民に飲ませた者』」(ヨハネの黙示録14章8節)

(1)バビロンの意昧

 バビロンはメソポタミヤにあった古代の都市です。ノアの洪水のあと、神は再び洪水で世界を滅ぼすことはないと約束し、人間か広く地球上にわかれて住むように指示なさいましたが、神に従わない人々は、ユーフラテス河畔のシナル平原にくだって、ここに都市を建設し、世界の驚異となるような巨大な高い塔を建てる計画をしました。彼らは神の約束を信じないで、神に反逆を企てたのです。しかし塔が完成する前に神は彼らの言葉を乱されたので、塔の建設は失敗に終わりました。この町はバベル(混乱の意)と呼ばれ、それからバビロンという名前がでてきました。バビロンははじめから神に対する反逆のとりでだったのです。
 その後、この地方を中心にしておこった新バビロニヤ帝国をはじめ、世界の大帝国はみなバベルの精神をうけついだ異教国でした。そのためヨハネはバビロンという名前を、聖書の教える真理をはなれ、神に従う者を迫害する堕落した宗教団体や宗教運動の総称として用いています。またペテロの第1の手紙5章13節では、クリスチャンを迫害したローマがバビロンと呼ばれています。
 現代バビロンの代表的なものとしては、古代バビロンから始まった多くの異教的伝説を取り入れて、キリスト教会を混乱に導いたカトリック教会をまずあげねばならないでしょう。そのほか、16世紀の宗教改革以来カトリック教会の誤りを部分的には改革しても、なお聖書に一致しない教えを信奉しているプロテスタント(新教)の諸教会もバビロンです。その他広い意味では聖書を認めない多神教、偶像教、あらゆる形の心霊術などもバビロンのうちにはいります。ただしここで注意すべきことはバビロンというのは聖書に反する宗教組織であって、その中には多くの神に愛せられる人々がいるということです。
 そのバビロンが倒れたというのは、再起できないほどに堕落してしまったという意味です。聖書の中で教会はキリストの花嫁といわれていますが、「不品行」というのは、結婚によって象徴されるキリストとの関係にはいった教会が、世俗や、国家権力と妥協して、不当な関係を結ぶことをさしています。「激しい怒りのぶどう酒を、あらゆる国民に飲ませた者」というのは聖書よりはなれた混乱した教えを強制するものを意味します。このような強制は宗教と国家権力との結合によって起こります。
 歴史的には第二天使の使命は、第一天使の使命を拒んだキリスト教会を警告するためにまず与えられました。もし1844年ごろのクリスチャンが、さばきの時がきたという使命を受けいれ、再臨のそなえをしていたら、バビロン状態にはおちいらなかったはずでした。しかしこの使命をうけいれたのは少数で、多くの人々は第一天使の使命を拒否したので、続いて第二天使の使命が全世界にのベ伝えられることになったのです。一般に新教の教会は、完全に聖書の教えにかえろうとせず、ますます世俗化の傾向を強め、やがて新教とカトリックと多神教が手をにぎって、神にさからう大バビロンを形成する時がくると聖書は預言しています。このような偽りの宗教組織については次の課で研究することになっていますが、第二天使の使命はこのような宗教団体にも与えられている神よりのメッセージです。

(2) バビロンの誤った教え
 
 宗教的バビロンの本質は、神の言葉の純粋な真理を乱したことです。その誤った教えの主なものをいくつかあげてみましょう。

第二天使の使命は、聖書の真理をはなれているすべての人々に与えられた愛の警告です。


3.第三天使の使命

「ほかの第三の御使が彼らに続いてきて、大声で言った、『おおよそ、獣とその像とを拝み、額や手に刻印を受ける者は、神の怒りの杯に混ぜものなしに盛られた、神の激しい怒りのぶどう酒を飲み、聖なる御使たちと小羊との前で、火と硫黄とで苦しめられる。その苦しみの煙は世々限りなく立ちのぼり、そして、獣とその像とを拝む者、また、だれでもその名の刻印を受けている者は、昼も夜も休みが得られない。ここに、神の戒めを守り、イエスを信じる信仰を持ちつづける聖徒の忍耐がある』」(ヨハネの黙示録14章9-12節)
 ここにのべられている使命は、「獣やその像を拝み、その刻印を額や手にうける者に、神よりのきびしい刑罰がのぞむこと」を宣言しています。この「獣」「獣の像」「獣の刻印(マーク、しるしのこと)」というのはなんでしょうか。
 これを研究するにはヨハネの黙示録13章をとりあげねばなりません。そこに獣とその像とその刻印についての預言があります。

(1)獣と獣の像
 この獣は、ローマ・カトリック教会をあらわしています(このことについては次の課をごらん下さい)。この獣の特徴は、宗教と国家権力が結びついていることで、獣の像というのはこれと同じ特徴をもつものが出現することを意味しています。黙示録13章によるとこれはアメリカ合衆国において起こることが預言されています。アメリカにおける背教的なプロテスタントが、国家権力と結びついて、この像をつくり、「すべての人々に、その右の手あるいは額に刻印を押させ、この刻印のない者はみな、物を買うことも売ることもできないようにした」(ヨハネの黙示録13章16、17節)とあります。

(2)獣の刻印
 このようなきびしい神の刑罰がくだる獣の刻印は、何か非常にはっきりした、確定的なものでなければなりませんし、神に反逆するものにちがいありません。これに対して聖書の中に神の印(しるし)という言葉があります。これは第2課で学んだようにエゼキエル書20章12節によると安息日をさしています。創造は真の神と他の神々を区別するものであり、人間の救いも同じ創造の力によって実現できるので、創造の記念日である安息日は、神の印とよばれているのです。そうするとこれに対抗する印は日曜日です。日曜日はカトリック教会が、その権威によって定めた礼拝日で、カトリック教会またはその代表であるローマ法王のしるしということができます。
 アメリカ合衆国では既に大部分の州に日曜休業令が発布され、法律によって獣のしるしである日曜日を強制しようとしているのです。このしるしを額にうけるというのは納得して日曜日を聖日として守り、手にうけるというのは強制されて守ることを意味します。
 第三天使の使命の言葉からみると、この刑罰は永遠につづくようですが、聖書の他の場所も参照すると、この言葉は完全な滅亡を意味するもので、罪人が永久に苦しめられるということではありません。
 この使命の最後は「神の戒めを守ること」と「イエスを信じる信仰をもちつづける忍耐」を強調しています。困難があっても忍耐して、キリストを救い主としてうけいれる信仰を継続していくことが大切です。
三天使の使命は、第一天使の使命が終わってから第二天使の使命が始まるのではなく、初めの天使の使命を拒否したために、第二天使の使命が加えられ、さらに第三天使の使命と次々に重なって、同時に全世界に宣伝されるのです。それでこれを三重の使命といいます。この三重の使命は、キリスト再臨前に与えられる最後の警告の使命で、今はこの使命を受けいれるべき恵みの時です。
 キリストの助けによって神の戒めを守り、イエスを信じる信仰をもっていくことは、クリスチャンにとって大事な経験です。この経験を確かなものとして、キリストをお迎えする準備をしなければなりません。


4.バビロンを出でよ

 「この後、わたしは、もうひとりの御使が、大いなる権威を持って、天から降りて来るのを見た。地は彼の栄光によって明るくされた。彼は力強い声で叫んで言った、『倒れた、大いなるバビロンは倒れた。そして、それは悪魔の住む所、あらゆる汚れた霊の巣くつ、また、あらゆる汚れた憎むべき鳥の巣くつとなった』」(ヨハネの黙示録18章1、2節)
 これは第二天使の使命と同じ内容ですが、三天使の使命につづいて与えられるもので「わたしはまた、もうひとつの声が天から出るのを聞いた、『わたしの民よ。彼女から離れ去って、その罪にあずからないようにし、その災害に巻き込まれないようにせよ』」(ヨハネの黙示録18章4節)という言葉がつづいています。大いなるバビロンとよばれている宗教団体の教理は間違っていても、その中には真実で神に従う熱心な信仰の持ち主がまだたくさんいます。この第4番目の天使の使命は、神が1人の滅びるのもお喜びにならず、あわれみのうちになされる最後のよびかけです。
 このような神のよびかけに、あなたはどうおこたえになるでしょうか。ほんとうに「今は恵みの時、今は救の日」です。時のすぎゆかぬ間に、神に従う決心をすべき時です。




第30課 復習問題


※問題をクリックすると解答が開きます。

答え: 各時代に必要な使命を与えて、人類の歩みを導いておられること

答え: イエス・キリストが人類を救うために人となって、私たちの身代わりの刑罰を受けて下さったことを信じることによって永遠の生命に入ること

答え: 聖書の教える真理を離れ、神に従うものを迫害する堕落した宗教団体や宗教運動の総称として用いている

答え: 第一天使の使命を拒んだキリスト教会を警告するためにまず与えられた

答え: 1.ローマ法王は神の子の代理者、2.法王無謬説、3.キリスト再臨に関する誤った教え、4.キリストの神聖を認めない

答え: 「神の戒めを守ること」「イエスを信じる信仰を持ち続ける忍耐」を強調している

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