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第33課 健康な生活


 健康は神より与えられた尊い賜物です。多くの人は健康を失うまでは、健康の尊さを知りません。地位や名誉、お金やあそびのために過労、睡眠不足、不注意な飲食などを重ね、健康が犠牲にされます。
 健康は生活の土台です。最上の健康状態を保っていなければ、自己に対しても家族や社会に対しても、また創造主である神に対しても十分に責任を果たすことはできません。
 ヨハネの第3の手紙2節「愛する者よ。あなたのたましいがいつも恵まれていると同じく、あなたがすべてのことに恵まれ、またすこやかであるようにと、わたしは祈っている」とあるように、精神が恵まれ、からだが健康であることを神は望んでおられます。
 聖書には私たちがどうしたら健康な生活ができるかについての原則や病気の予防、正しい食事、公衆衛生などについて教えてあります。これは古代イスラエル人に与えられたものですが、現代の私たちにも適用できるものです。また、E・G・ホワイトを通しても多くの示唆が与えられ、終末時代に生きる私たちが健康を保っていくための有力な導きとなっています。


1.精神と身体の健康

 「健全なる精神は健全なる身体に宿る」といいますが、精神と身体の間に密接な関係があることは医学的にも証明されています。不節制なことをして健康を害するならば、それは身体に苦痛を与えるばかりでなく、精神を弱め、善悪に対する判断力も鈍り、克己心も失われてきます。したがって私たちは品性を守るように、健康を守る必要があるのです。
 私たちのからだは神の宮であって、神の御霊が宿る場所であるから、聖なるものであると聖書はのべています(コリント人への第1の手紙3章16、17節参照)
 また「自分のからだは、神から受けて自分の内に宿っている聖霊の宮であって、あなたがたは、もはや自分自身のものではないのである」(コリント人への第1の手紙6章19節)とあります。したがって私たちのからだは私たちのものではなく、神のものであるということを理解し、神に対する責任として、私たちのからだを大切にしなければならないのです。


2.健康の法則

 神がおつくりになった世界の特徴は、すべてのことに法則があることです。健康を保つためにも法則があります。その法則を理解して、これを実行すれば健康が保たれるのです。そのうちで基本的なものを次に延べてみましょう。

(1)新鮮な空気
 わたしたちのからだが生命を保ち、よい機能をもつために最も重要なのは酸素です。人間は、食物がなくても数週間、水がなくても数日間生きられますが、酸素がなければ、4分くらいで脳には取りかえしのつかない害があらわれ、更に数分後には生命が失われます。普通1日に1万5千リットルの空気を呼吸しますが、その20パーセントは酸素です。激しい運動をする場合はこの20倍ぐらいの量を呼吸します。
 空気は肺にはいって、血液に酸素を与え、これが全身をまわって、すべての細胞に酸素を供給します。新鮮な空気を十分にとることは、からだ全体に活力を与えます。また頭脳の働きを活発にし、よい判断や思考力を助けます。
 空気を十分にとるために正しい姿勢と深い呼吸の習慣をつけることが必要です。毎朝起きたとき、窓をあけて深呼吸を10回くらいと、そのほか日中に少なくともあと2回これをくりかえします。これは肺の幾干の気胞をひろげ、血液の循環をよくし、肺炎、気管支炎、その他の病気の予防にも大いに役立ちます。

(2)日光
 温度6000度の太陽の表面からでる光と熱は、生活に必要なエネルギーを与え、健康にかくことができません。「毎日太陽のもとで30分」というのが1日の最少必要量です。曇りの日でも健康のために大切な紫外線は雲をつらぬいてきますから、戸外に出ることは有益です。そうすれば新鮮な空気もえられます。日光はじょうぶな骨や歯をつくるためになくてはならないビタミンDをつくります。またバクテリアを殺す効果があります。

(3)節制
 節制というのは有害なすべてのものを完全にやめ、たとえよいものでも適量に用いることです。日光浴にしても、過度になれば有害になります。
 節制についてパウロは、「すべて競技をする者は、何ごとにも節制をする。彼らは朽ちる冠を得るためにそうするが、わたしたちは朽ちない冠を得るためにそうするのである。そこで、わたしは目標のはっきりしないような走り方をせず、空を打つような拳闘はしない。すなわち、自分のからだを打ちたたいて服従させるのである」(コリント人への第1の手紙9章25―27節)といいました。
 当時ギリシャで盛んに行われたオリンピックでマラソンの選手たちは、勝利の月桂冠を得るためには、平常からどんなきびしい訓練や節制もいといませんでした。このことからパウロはクリスチャンの生活を競走にたとえ、「朽ちない冠」すなわち神の国にはいる特権をかちうるために、信仰生活のコースを走っているクリスチャンは、すべてのことに節制しなければならないと教えたのです。
 今日タバコと酒は一般にゆきわたっていますが、これらはいずれも健康に有害です。オリンピックに出場する優秀な選手たちは、ほとんど禁酒禁煙を守り、飲食物にも非常に気をつけるといわれています。

₋㋑ タバコの害
タバコの煙の中には数多くの化学物質が含まれていますが、これらの多くは、なんらかの方法でからだに刺激や害を与えます。そのうちで最も大量に存在し、健康に最も大きな影響を与えるのは、ニコチンです40本のタバコの中に含まれている量(40ミリグラム)は、もしそのすべてが体内に吸収されるならば、1人の人を殺すことができます。
喫煙と密接な関係があり、多くの場合喫煙によってひき起こされる4つの、いずれも命にかかわる病気があります。それは心臓発作、肺ガン、慢性気管支炎、胃または12指腸潰瘍です。
日本では戦後タバコの消費量が急激にふえて、肺ガンによる死亡が増加しています。昭和22年に肺ガンによる死亡は667人に過ぎませんでしたが、昭和48年には、この数は12856人(気管及び気管支を含む)と20倍近くになっています。昭和39年1月22日の日本経済新聞に、岡田道一博士は「禁煙を励行しているセブンスデー・アドベンチストという宗教団体の肺ガン発生率が他の団体の10分の1、特に初めから吸っていない者のうちからは1人も出ていないという例は注目すべきであろう」と書きました。米国でもタバコと肺ガンの関係ははっきり証明されました。

₋㋺ 酒と健康
クリスチャンで酒を飲む人もあり、聖書には酒を飲むなとは書いてないという人がいますが、箴言23章29節から35節までに次の言葉があります。
災ある者はだれか、憂いある者はだれか、争いをする者はだれか、煩いある者はだれか、ゆえなく傷をうける者はだれか、赤い目をしている者はだれか。酒に夜をふかす者、行って、混ぜ合わせた酒を味わう者である。酒はあかく、杯の中にあわだち、なめらかにくだる、あなたはこれを見てはならない。これはついに、へびのようにかみ、まむしのように刺す。あなたの目は怪しいものを見、あなたの心は偽りを言う。あなたは海の中に寝ている人のように、帆柱の上に寝ている人のようになる。あなたは言う、「人がわたしを撃ったが、わたしは痛くはなかった。わたしを、たたいたが、わたしは何も覚えはない。いつわたしはさめるのか、また酒を求めよう」と。

 またコリント人への第1の手紙6章9、10節には、「酒に酔う者は神の国をつぐことはない」といわれています。酒を常用すると習慣になって、脳に影響を与え、肝臓を害しついには死をもたらします。またデリケートな胃壁を刺激して潰瘍の原因になります。
 酒は運動神経の反応時間をおくらせます。自動車を運転するとき酒を飲んでいない人は危険物をみてから、ブレーキに足をのせるまでに0.5秒から0.8秒かかりますが、ビール1杯でも飲んでいる人は倍の時間がかかり、時速40キロで走っているとき、飲まない場合よりすくなくとも5メートルよけいに走らないとブレーキがかからない計算になり事故を起こす危険がそれだけ大きくなります。
 酒は争い、盗み、家庭の破壊、の原因にもなっています。
 酒やタバコは習慣になると、なかなかやめにくいものですから、はじめから手をふれないことが賢明です。この悪習慣にとらわれている人も、神の助けによって、これに打ち勝つことができます。パウロは「わたしを強くして下さるかたによって、何事でもすることができる」(ピリピ人への手紙4章13節)といいました。
 また緑茶・紅茶・コーヒー・コーラ等も、その中にカフェイン、ティン等の神経を興奮させる物質があって、脳、心臓、じん臓などを刺激し、不眠症をおこすこともあります。一時つかれがとれたように感じても、その刺激がきれるとかえって一層つかれをおぼえるようになります。これも習慣になりますからやめて、刺激のない飲みものを用いるのがよいことです。

(4)休息
 活動のあとに休息が必要です。一般的にいえば1日に7時間は睡眠が必要であるといわれています。睡眠は健康の原動力です。最近は不眠症が多くなっているようですが、睡眠時に胃の負担をなくすこと、適当な運動をし、新鮮な空気を吸うこと、静かな心を持つように努めることなどは不眠症をふせぐ助けとなります。
 仕事の半ばにすこし休息すること、1週間に1日の休養1年に1回ぐらいまとまった休暇をとって仕事から解放されることなどは、仕事の能率を高め、健康を保つよい方法です。

(5)運動
 子供の時はよく運動しますが、勉強が忙しくなったり学校を卒業して社会にでると一般的には運動不足になりがちです。毎日30分運動すれば理想的です。できれば2キロぐらいを早足で歩き、そのほか適当な体操などで全身の主要な筋肉を全部動かすように心掛けましょう。

(6)食事
 神がはじめに人間にお与えになった食事は、穀類、果実、堅果類、野菜等のいわゆる菜食でした。この中にたんぱく、脂肪、含水炭素、無機質、ビタミン等健康のために必要なすべての栄養素が含まれています。肉食が許されたのはノアの洪水のときで、植物が一時なくなったからです。このときでもなんでも食べていいというのではなく、その種類が指示されました。レビ記11章にくわしく書いてありますが、動物で反芻するもので、ひずめが分かれているものは食べてよいといわれています。この条件にあてはまらないで広く用いられているのは豚です。また水の中にいるものではヒレとウロコのないもの、すなわちエビ、カニ、タコ、イカ、貝類などはいけないといわれています。
 これは十分理由のあることで、これらのものは健康に有害なのです。第2次世界大戦のとき、米国が南方作戦で困ったことは、南の海にいるどんな魚をたべたらよいかがわからなかったことでした。いろいろな魚について研究した結果、兵隊に指示したことは、ヒレとウロコのある魚は食べても大丈夫ということでした。
 肉食は理想的な食物ではありません。たとえば動物性脂肪によってとりいれられる余分のコレステロールが動脈硬化など成人病の原因になります。また今日は動物の病気も著しくふえていますから、菜食にきりかえることが安全です。

(7)水の使用
 人体の70ないし75パーセントは水でできています。毎日適当量の水を飲むことは、一般に忘れられていますが大切なことです。1日コップ6杯から8杯の水を食事と食事の間に飲むようにすすめられています。
 それによってからだの働きは円滑に行われ健康に保たれるのです。

(8)心の平安
 今日身体が心に及ぼす影響とともに、心が身体に及ぼす影響もわかってきました。聖書には「心の楽しみは良い薬である」(箴言17章22節)。また「ここちよい言葉は・・・魂に甘く、からだを健やかにする」(箴言16章24節)とあります。神は「わたしの教を忘れず、わたしの戒めを心にとめよ。そうすれば、これはあなたの日を長くし、命の年を延べ、あなたに平安を増し加える」「それは、これを得る者の命であり、またその全身を健やかにするからである」(箴言3章1、2節、4章22節)といわれています。
 アメリカの大富豪ジョン・D・ロックフェラーは少年のころからお金をためようとして必死に働き、利己主義のかたまりのようでした。そして53才のとき、収入は週100万ドル、財産は10億ドルといわれました。しかし彼は健康をそこなっていました。クラッカーとミルクしかたべられず不眠症で、医者はあと1年も生きられないだろうといいました。眠られない夜を過ごしながら、将来のことを考えました。死ぬときは巨万の富も持って行くことはできません。そこで彼は、他人のために生きようと決心し、次の数年間に数百万ドルを慈善のために寄付しました。彼の目標がただお金をためることから、人に与えることに変わったとき、心に喜びがわいてきました。そして健康も著しく回復し食欲も増し夜もよく眠れるようになりました。
 あと1年も生きられないと言われたこの人が、さらに45年、98才まで生きたのです。これは彼のどん欲、憎しみ、利己主義という、健康を破壊するような否定的感情を、人々に対する愛という肯定的な原則に変えたことによるのです。
 心の平安は、からだの健康をもたらします。




第33課 復習問題


※問題をクリックすると解答が開きます。

答え: 「愛する者よ。あなたのたましいがいつも恵まれていると同じく、あなたがすべてのことに恵まれ、またすこやかであるようにと、わたしは祈っている。」(ヨハネ第3の手紙2節)。

答え: 私たちは品性を守るように健康を守る必要があります。

答え: 正しい姿勢と深い呼吸の習慣をつけること

答え: 有害なすべてのものを完全にやめ、たとえよいものでも適量に用いること

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