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第31課 現代の使命Ⅳ—偽りの宗教組織


 宗教は私たちの生活にとって非常に大事なものです。今世紀最大の物理学者の1人であったアルバート・アインシュタインは、「人間の生きている意味は何か。これにこたえるのには宗教がいる」といいました。日本人は一般に宗教に無関心な人が多いですが、宗教はなやみや苦しみのある不幸な人が信じればいいというのではなく、人間の生きる意味や目的を教えることに重要な意義があります。
 この世界には多くの宗教があり、人生の問題や死後の問題にこたえようとしていますが、聖書はこの世界と人間をおつくりになった方が真の神であると教えています。創造者である全能の神は、人間のすべての必要をみたして下さいます。
 この世の中にはいろいろな宗教がありますが、真の神をおがむ宗教をえらぶことが大切です。偽りの宗教は真理を教えず、かえって人を惑いにおとしいれるものです。
 この前の課で学んだバビロンは偽りの宗教組織です。この課では現代に重点をおいて、偽りの宗教組織に関する預言とその実情を学んでみたいと思います。


1.終末時代の宗教

 「また見ると、龍の口から、獣の口から、にせ預言者の口から、かえるのような3つの汚れた霊が出てきた」(ヨハネの黙示録16章13節)
 多くの聖書注解者は、この聖句にある、龍というのは悪魔自身か多神教を、獣はローマ法王をかしらとするカトリック、にせ預言者は聖書よりはなれているプロテスタントを指すと考えています。これが終末時代における偽りの宗教組織を形成するのです。悪魔はこれらの宗教組織を通して人々を滅びにおとしいれるために働きます。

(1)龍
 ヨハネの黙示録12章をみると、天においてキリストに反逆した龍すなわち悪魔が勝つことができないで、地に投げ落とされたとあります。龍はそこで神の教会を迫害しましたが、「地は女(教会)を助けた」とあります。聖書の中で海は多くの人々をあらわすのに対して、地は人のすくない地域を示し、「地が女を助けた」というのは宗教改革のころ、北アメリカ大陸はまだ人がすくなく、ヨーロッパにおける迫害を避けて新大陸に清教徒がうつったことを示唆しています。

(2)獣
 ヨハネの黙示録13章には、2つの獣がえがかれています。1節から10節までにえがかれている獣は、「角が10本、頭が7つあり、それらの角には10の冠があって、頭には神を汚す名がついていた」(ヨハネの黙示録13章1節)とあります。
 この獣が出現する前に、ヨハネの黙示録12章をみると赤い龍がキリストを殺そうとすることが預言されていて、これは悪魔によって動かされていた多神教ローマを表わしています。13章の獣はそのあとに出てくる権力で、これは明らかに法王教によって支配されたローマです。この、獣の頭は、その主要な政治権力、角や冠もこの獣がそれを通して働いた国家や権力をあらわすものとみることができます。
 この獣に龍は「自分の力と位と大いなる権威とを」与えます。すなわち悪魔は法王によって支配されたローマを通して、神の計画とたたかい、神の民を迫害したのです。
 その獣についてさらに、「その頭の1つが、死ぬほどの傷を受けたが、その致命的な傷もなおってしまった。そこで、全地の人々は驚きおそれて、その獣に従い、また、龍がその権威を獣に与えたので、人々は龍を拝み、さらに、その獣を拝んで言った、『だれが、この獣に匹敵し得ようか。だれが、これと戦うことができようか』。この獣には、また、大言を吐き汚しごとを語る口が与えられ、42か月のあいだ活動する権威が与えられた」(ヨハネの黙示録13章3、5節)とあります。
 この獣が活動する期間の42か月は他の場所では1年と2年と半年または1260日(ヨハネの黙示録12章14節、11章2、3節)となっていて、実際には1260年です。ローマ法王権が確立したのは538年で、それから1260年たった1798年には、ナポレオンの軍隊の将軍ベルティエがローマにはいり法王を捕虜とすることによって、法王権は死ぬほどの傷をうけたのです。
 ところがこの預言によると、この致命的な傷がなおったとあります。実際に法王権はその後徐々にその力を回復し、1929年には、ムッソリーニを首相とするイタリア政府は法王庁と和を結び、いわゆるラテラノ条約に調印しました。その結果、法王庁の所在地バチカン市は、わずか0.44平方キロの領土ですが、れっきとした独立国となり、法王は再び地上の王となって、勢力を回復してきました。
 小林珍雄氏はその著「バチカン市国」の中で、「バチカン市国は・・・・物質的方面においては、世界最小でありながら、他面その精神的感化力において世界人口の3割を占めるカトリック教の本山として、たしかに列強の1つに位している」と書いています。「全地の人々は驚きおそれて、その獣に従い」という預言は、最近世界的に著しく増加しているカトリック信者により成就しつつあると言えるでしょう。なおこの勢力は「だれが、この獣に匹敵し得ようか。だれが、これと戦うことができようか」とあるように、全世界を支配する時が再びくるにちがいありません。

(3)にせ預言者
 終末時代のもう1つの大きな宗教勢力は、聖書よりはなれたプロテスタントです。


2.アメリカ合衆国

(1)小羊のような獣

 ヨハネの黙示録13章11節に、ヨハネはもう1つの獣が地から上ってくるのをみています。この獣がアメリカ合衆国をさしていることは、次の点から明らかです。

(2)龍のように物を言う
 
 小羊のように柔和なこの獣はやがて、「龍のように物を言う」ようになりさらに「先の獣の持つすべての権力をその前で働かせた。また、地と地に住む人々に、致命的な傷がいやされた先の獣を拝ませた」(ヨハネの黙示録13章12節)というのです。
 龍は悪魔を代表しており、正しい神の教会を迫害してきました。法王教ローマを動かして、1260年間にわたって、聖書に従う数百万にのぼるクリスチャンを殺したのです。「龍のように」とは、みかけは小羊のようなこの獣が、やがてクリスチャンを迫害するように変わっていくという預言です。
 獣が物を言うとありますが、国家が物を言うのは法律を通してです。憲法付則第1条に、「国会は宗教を設定し、その自由礼拝を禁止し、もしくは言論及び出版の自由を制限することはできない」と規定しているアメリカにこのような法律ができるというのは考えにくいことですが、実際にはそのことが起こりつつあります。
 アメリカはほとんどの州に日曜休業令があり、熱心な州はしばしば「日曜休業法案」を連邦議会に提出してきました。これは法律をもって日曜日の休業を強制しようとする試みですが、この法案は憲法に違反するということで、今日まで通過しませんでした。もしこの法案が議会を通過することになれば、これはアメリカの建国 精神に反するばかりでなく、キリスト教精神とも相いれない悪法となるでしょう。
 1961年5月29日、アメリカの大審院はマサチューセッツ、メリランド及びペンシルバニヤの3州で起こった日曜休業の州令をめぐる異議に対し、これは正しい法律であるとの判決を下しました。預言のとおり、日曜休業法案が連邦政府の法律として取り上げられる日も、あまり遠いことではなさそうです。またアメリカは「地に住む人々に、…先の獣を拝ませ」るとある言葉から、問題はただアメリカだけのことでなく、全世界の人々に関係していることがわかります。先進国アメリカが日曜休業令の施行にふみきるならば、おそらく多くの国々がこれにならうことでしょう。そして全地の人々が直接間接に、法王の権威に従うようになるというのです。

(3)獣の像をつくる
 続いてヨハネは、アメリカが先の獣の像を造ることについて預言しています。
「さらに、先の獣の前で行うのを許されたしるしで、地に住む人々を惑わし、かつ、つるぎの傷を受けてもなお生きている先の獣の像を造ることを、地に住む人々に命じた。それから、その獣の像に息を吹き込んで、その獣の像が物を言うことさえできるようにし、また、その獣の像を拝まない者をみな殺させた」(ヨハネの黙示録13章14、15節)

 E・G・ホワイトは「米国の主要な教会が、その共通の教理において合同し、国家を動かして教会の法令を施行させ、教会の制度を支持させるようになるときに、プロテスタント・アメリカは、ローマ法王制の像を造り、その必然の結果として、反対者たちに法律上の刑罰を加えることになるのである」(各時代の大争戦下巻165ページ)と書いています。
 16世紀の宗教改革以来、数百の教派に分離してきたプロテスタント(新教)各派の間に、今日ほど合同の声が高まった時代はありませんでした。教会合同はプロテスタントだけでなく、カトリックとプロテスタントとの間も接近しつつあります。
 やがて偽りの宗教組織の大同団結ができあがるとき、聖書に立脚して正しい信仰をもつ人々はきびしい迫害をうけますが、全能の神は、神に従う者を守って下さいます。「神はわれらの避け所また力である。悩める時のいと近き助けである。このゆえに、たとい地は変り、山は海の真中に移るとも、われらは恐れない」(詩篇46篇1、2節)


3.偽りの宗教組織の最後

 ヨハネの黙示録18章のはじめに「大いなるバビロンは倒れた」(2節)という宣言があり、それにつづいて、真の神よりはなれた宗教組織がいかなる運命をたどるかが預言されています。「彼女〔バビロン=著者注〕の罪は積り積って天に達しており、神はその不義の行いを覚えておられる。彼女がしたとおりに彼女にし返し、そのしわざに応じて2倍に報復をし、彼女が混ぜて入れた杯の中に、その倍の量を、入れてやれ」(5、6節)
 「それゆえ、さまざまの災害が、死と悲しみとききんとが、1日のうちに彼女を襲い、そして、彼女は火で焼かれてしまう。彼女をさばく主なる神は、力強いかたなのである」(8節)
 最初は魅力的で安易に見えた妥協と罪の道が、最後は全く壊滅する悲劇的な運命となるのです。
 そして神に従っていた人々は「天よ、聖徒たちよ、使徒たちよ、預言者たちよ。この都について大いに喜べ。神は、あなたがたのために、この都をさばかれたのである」(20節)という声をきくのです。
 このような時代に私たちは、神の言葉に従い、聖書に立脚して宗教界の動向を注意し、預言の成就をみるとともに、神の救いにはいるそなえをしたいと思います。




第31課 復習問題


※問題をクリックすると解答が開きます。

答え: 人間の生きる意味や目的を教えることに重要な意義がある

答え: 1.龍ー悪魔自身か多神教ローマ、2.獣ーローマ・カトリック、3.にせ預言者ー聖書より離れたプロテスタント

答え: 法王権は徐々に力を回復し、1929年イタリア政府と和を結び、ラテラノ条約に調印した。その結果法王庁の所在地バチカン市はれっきとした独立国となり、法王は再び地上の王となり勢力を回復した

答え: 政治の自由ー共和政体、宗教の自由ープロテスタントの立場、上記の2つを象徴したもの

答え: 法王教ローマ、宗教と政治権力が一つになってその教義を政治の力で強制し、これに反対する者を迫害した

答え: 「神はわれら避け所またである。悩める時のいと近き助けである。このゆえに、たといは変り、の真中に移るとも、われらは恐れない」(詩篇46篇1、2節)。

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